先の震災で甚大な被害を受けた石巻市へ、年の瀬の12月16日に行ってきた。
津波は市街地を洗うがごとく、その土地に確かに実在したであろう『幸せ』『思い出』『財産』『夢』そして命までも奪い去ったようだ。 現在、その痕跡は茫々とし、茶色く土漠のように単に冬ざれた景観だけが視界に広がっている。
被災地にも、カレンダーどうりクリスマスは今年もやってくるのである。
平常な暮らしの街に灯される数多のクリスマス・ツリーには心が華やぎ、『ケーキ』だ『シャンパン』だというワードが心に踊る。 被災した地元の方達と思われる幾人かが、 フェリーも欠航した冷たい風の吹きすさぶ中、クリスマス・ツリーに様々なイルミネーションを灯す作業をしていた。
そして、それは外観、形状は全く万国共通のクリスマスツリーである。
そのはずなのに、思わず手を合わせたくなるような、不思議な穏やかさ満ちていた。
灯火(ともしび)。 言霊という日本語があるが、『ともしび』とはなんと優しくて切ない響きなのだろう。 この地で、私はそのことに気づいたのである。
石巻市、市街地 |
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